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体験した法律トラブル

 子供の頃は、田舎に住んでいた。「土地は値上がりし続ける」いわゆる土地神話が未だ生きていた。値上がりしていたとは言え、田舎の土地は安かった。両親は祖父母の貯金をあてにして、土地を買っては値上がりしたと言って喜んでいた。
 土地を買うためには、現地を見なければならない。留守番をさせておく訳にいかなかったのだろうが、子供なのに土地を見に連れ回された。造成地の未舗装の砂利道で不動産会社の車に揺られ、車酔いばかりしていた。
 そんな冬のある日、学校から帰ると、母が今から警察に行くと言う。子供に留守番させておく訳に行かなかったのは言うまでもない。バスを乗り継ぎ、警察署に着いた時には、辺りは暗くなっていた。会社に行っているはずの父が待っていた。
 血相を変えた両親が警察官に何かを訴えると、警察官は笑いながら何か言った。そして最後にこう付け加えた。「法律ぎりぎりが一番儲かる。はみ出しちゃ駄目だけどね。」
 子供なので、何が起きたのか分からなかったが、不動産会社が詐欺一歩手前の手段で、価値のない土地を売ろうとしたらしい。つまり法律ぎりぎりだ。両親もぎりぎりの所で踏み留まったらしい。これが、私が生まれて初めて体験した法律トラブルだ。
 その後、両親のささやかな土地投機熱が衰えることはなかった。父の転勤で都会に引っ越すまでは。
 そして警官の言葉は、私の座右の銘になった。しかし、実際に活用する機会に未だ遭遇していない。だから、私はあまり金持ちではない。

もっと詳しくしりたくなったら。

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